前期教育の思い出を語る
自衛隊ではまずはいって最初の三ヶ月はみな共通の教育を受けることになります。それはオリンピック選手の養成として部隊に来た人間もまったく代わりません。
その理由はその前期教育で自衛官として必要な技能、知識を修得するという名目があるからです。
そこでは営内での過ごし方、先輩との接し方、自衛官としての動き方、しつけ、などさまざまなことを習います。
その全ては部隊運営に必要なことなので、私達はそれができていないと指導、つまりは体で支払うということを経験します。
自衛隊ではなにかあったときの罰として腕立てふせや屈み跳躍という体力練成でその支払をするという伝統があります。
私が教育隊にいた頃、ちょっと周りと上手く出来ない隊員がいました。
その隊員は良く何かしらをやらかして、教官助教から叱咤されていました。
そして、残念ながら前期教育隊ではそのようなことがあると、その本人だけではなくて、その周り、場合によっては教育隊、区隊、班、バディなどが一緒にペナルティを受けます。
一緒に腕立てふせをしてその罪を償うということです。
これについては教育の一環なので決して体罰ということではないのですが、やらされている側からすると非常につらいものです。
最近ではモンスターペアレント問題も自衛隊では話題になってきています。
前期教育中に学生が耐え切れずに退職させてくれるように親に泣きつくという事案が発生しています。そうなるとこれは退職せざるを得ません。
万一脱柵などをしてしまうと、自衛隊としてはその捜索のためにお金が大量にかかってしまい、平常業務が滞ってしまうという事になるからです。
私が教育隊にいたころも脱柵していなくなってしまう隊員がいました。
そのようなことで住めばまだ良いのですが、部隊によっては教育隊で自殺事案が発生することもあります。